2015年2月28日 石鎚山
なんと積雪期の石鎚登山は5年振りある。 久しぶり過ぎて一人では不安なため、「のんびり山歩」のHPを運営しているのんびり山さんに同行をお願いした。 (HPはこちらをご覧ください。) のんびり山さんは、毎週山に登られているベテラン登山者さん。 ですが、こちらは近年すっかり山から遠ざかって自称登山者になってしまっている。 すごーく足を引っ張ってしまうかも、と心配になった。 そこで石鎚行きの装備を試すのとトレーニングを兼ねて、四日前に皿ヶ嶺出かけた筆者である。 皿ヶ嶺でわかったことは、雪山用の登山靴とザックが思いのほか重い。 しかし今さら体力作りは間に合わないので、今回は荷物の軽量化を図ることにした。 「弁当を忘れてもGPSを忘れるな」のこのワタクシが!登山用のGPSの代わりにランニング用GPS付き腕時計に、 (せっかくの雪山ではあるが)一眼レフの代わりにコンパクトデジカメで、まずは登山の成功を目指すことにした。 二日前の天気予報により、この日に決定!の連絡をいただく。無事に登頂を果たせるか。 |
5:30 松山市内にてのんびり山さんと合流。 7:00前 下谷の駐車場着。身支度をして、 8:00 始発のロープウェイにて山頂成就駅へ。 気温は0℃。 駅舎を出ると、木々に霧氷が付いている! 美しい。 来てよかった。 霧氷の木々の下をのんびり山さんと成就へと向かう。 |
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8:33 成就社着。 S旅館にて登山届に記入し、御手洗いをお借りする。 (ロープウェイ駅舎に御手洗いがあるのはわかっているが、 精神的な安定のため少しでも先の場所で行っておきたいのである。 おかげで下山するまで御手洗いの心配はしなくて済んだ。) 8:52 アイゼン、スパッツを装着してS旅館を出発する。 9:04 八丁のコル通過。 |
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ゼーハーゼーハー。予想以上にしんどい。 登山道の様子も5年振りだとほぼ覚えていない。 こんなにしんどかったっけ? のんびり山さんはちゃっちゃと登っていかれる。 やっぱり毎週登っている方は速いなあと感心する。 夏道は雪に埋もれて影も形もない。 危険を感じる所もあり、慎重に登っていく。 |
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10:05 やっとのことで前社ヶ森に到着。小休止。 のんびり山さんはメモを取っている。 あの文字がいっぱいのHPの記事は、 緻密なメモによって成り立っていることを知った。 何をメモっているんでしょうか? ひょっとして私のこともHPに書いちゃうの? |
10:38 夜明峠通過。ようやく石鎚が見える。 久しぶりの石鎚は迫力があった。 ああ、来てよかった! 快晴。風なし。霧氷なし。 左側斜面に亀裂ができている。 そのうち雪崩が起きるのかな? |
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振り返って、登ってきた道と後方に瓶ヶ森。 ここまでたどり付くまでに、足がつってしまった。 山で足がつったのは初めての経験だ。 |
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11:17 新しい小屋が見えてきた。 | 拡大。木造(上)が新築の避難小屋。プレハブ(下)が工事用の小屋。 | ||
ゼーハーゼーハー。 二の鎖小屋手前の最後の急坂をがんばって登る。 11:30 ようやく小屋まで到着。 ここまで到るにも疲労し過ぎ。 下りもあることだし、頂上はあきらめることにする。 ところが! 「ここで待っていますから・・・」 とのんびり山さんに告げるも、 のんびり山さんはあくまで紳士的に登頂をすすめてくださる。 涙が出るほどありがたいが、大丈夫かなあ。 ザックを置いて身軽な状態なら登れるかも? |
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ザックは避難小屋に置き、自分の食料をのんびり山さんに持ってもらい、ヘルメットをかぶり、ピッケルを持って「さあ出発!」と思ったら 「スリング、スリング」とのんびり山さんに忘れ物を指摘され、あわててスリングをザックから引っ張り出す。 ああ、私は一体何をやっているんでしょう。 11:45 平常心を失いつつも小屋前を出発する。 が、いきなり凍った急斜面が現れる。そこをトラバースして越えていかねばならない。 足跡をたどれば通過できるのだろうが、残念ながら小柄な私では歩幅が合わない。 のんびり山さんに「谷側に体重をかけて」とか、「もし滑ったら(ピッケルを構えて)これで止まるから」等声かけをしてもらいながら進む。 下を見ると、もし滑ったらどう見ても止まりそうもない斜面である。めちゃくちゃ怖い。 滑落したら本当に死ぬかも? 新聞に載っちゃうよね 山岳保険もまだ入っていないし 家族はどうなる・・・ 色々な考えが頭の中をよぎり、階段の手前の手前まで進んだところで敗退を決意し、恐る恐る凍った斜面を引き返した。 (引き返すにも進んでくる人との離合が大変!) のんびり山さんも一緒に小屋まで引き返してくださった。迷惑をかけて申し訳ない・・・。 のんびり山さんは「1時半に帰ってきます」と言い残して、写真を撮るため山頂に向かわれた。 はーい、行ってらっしゃいませ。ごゆっくりどうぞ。 |
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その間に色々探検。避難小屋が完成したのは知っていたが、訪れるのは初めてである。 中には梯子があって、二階からも外と出入りができるようになっている。 気温は0℃くらいか。屋外でも全く寒くないので、広場で瓶ヶ森を眺めながらお昼のパンをいただく。 |
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そこに男性二人組が登ってこられた。 親切なことに私にも入れたての熱々コーヒーをくださり、 三人でおしゃべりする。 私がこの先がいかに怖いことになっているかを力説すると、 お二人は「無理だったらすぐ戻ってくるかも」と言いながら出発していかれた。 この後、瓶ヶ森を眺めながら一人で静かに過ごす。 |
今日の登山の第二の目的はこれ。 この1月に亡くなった、私の登山の師匠のはっちゃんことHさんの供養のため。 本当なら写真と同じように、弥山で天狗岳を眺めながら故人を偲びたかったのだが・・・。 彼が特にこだわりを持って、撮影のため通っていた厳冬期の石鎚。 週末夜間登山をしては、夜明けの天狗岳を撮っていた。 はっちゃん、あなたはこんな危ないことをしていたのですか? しかも夜に。 二の鎖小屋前から弥山まで、夜だと四時間かかるのだという。 「大好きだったビールを持ってきたよ」と話しかけると、 「こんな所まで来て、○○ちゃんばかですね〜」とHさんの声が聞こえたような気がした。 『ばか』というのはHさんの褒め言葉。はっちゃん、わかりにくいよ。 ひょっとしたら今頃、自由になった彼も石鎚に来ているのでは、と思ったのだった。 |
ちょっとして、先程の男性二人組が戻ってこられた。 やはり階段の所で危険と判断して、引き返したそうだ。 うん、うん、やはり怖いですよね、と激しく共感する。 (この方には後日このHPを見つけてもらいメールをいただきました。ありがとうございました。) 瓶ヶ森と工事車両と筆者 すると今度は別のごつい兄やんが山頂から下ってこられた。 この方が今日のトップだった方。 ピッケルで足場を切って進んでいたら、途中からベテランさんが追いついてきてトップを代わってくれたとのこと。 そのベテランさんとはヤマさんご夫婦です。(ヤマさんのブログはこちら) のんびり山さんとお知り合いの方で、実は私がときどき読んでいるブログを運営している方である。 (ということをのんびり山さんに教えていただいた。) ヤマさんのブログの題名の後のアルファベットと数字は何だろう?と常々思っていたが、 ヤマさんが無線機を携帯しておられるのを見て謎が解けた。 アマチュア無線の識別信号であることが判明。ああスッキリ。(^_^) 13:27 のんびり山さんが予定より3分早く下ってこられた。 カメラがコンパクトデジカメから、すごいレンズのついた一眼レフになっている。 山頂ではどんな写真が撮れたのでしょう? 避難小屋前の広場もちょうど日陰になり、じっとしていると肌寒くなってきた。 こちらも身支度をして、13:40に下山開始。 上りでも結構危なかった所を、今度は下りで通過せねばならない。 安全のためヘルメットを着用して下ることにする。 |
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14:16 北壁も見納めかな。 のんびり山さんも写真を撮っておられる。 |
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14:22 前社ヶ森まで下ってきた。 数人のグループとすれ違い、軽くあいさつする。 この時間に登るということは、今日は避難小屋泊まり? 明日は雨の予報だが、大丈夫かしらん。 八丁のコルでアイゼンをはずし、最後の坂を上っていく。 |
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15:43 成就社に到着。 | |||
石鎚神社にお参りする。 無事に登山できました。ありがとうございました。 御礼にお賽銭を奮発した。 しかし、残念ながら石鎚が日陰になっている! ここは朝一で訪れないとだめだったのか。 今まで気にしたことがなかったよ。 S旅館で少し休憩した後、16:20のロープウェイで下山した。 |
二の鎖避難小屋前より瓶ヶ森
今回の登山は、何から何までのんびり山さんにお世話になった。 のんびり山さんは、私よりはるかに古いHさんのお友達である。 その年数は何と25年間。 Hさんは山に登ると、のんびり山さんによく手紙やハガキを送っていたという。 お二人は山の写真屋さんという共通点があり、写真の感性も似ていて仲がよかったそうだ。 そんな方に道中、私の知らないHさんのこと、写真のこと、山の色々な話をお伺いできて、 彼が亡くなって以来の苦しみ悲しみが癒されていくのを感じたのだった。 |
注意!
のんびり山さんは、癒し系の紳士でありながら、実はすごい実力を持った山男さんです。
ご自身のHPに書かれてあることは、すべて謙遜です!(笑)
くれぐれも安易な気持ちで雪の石鎚には来ないようにしてください。落ちたら死にます。
2010年11月3日 のんびり山歩さん写真展
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2009年1月17日〜18日 石鎚雪山登山教室 1日目 2日目
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